『コンクリートシアターvol.1』役者所感

【中西祥子】
絡繰機械’s第18回公演『コンクリートシアターvol.1』終演しました。
全8公演4週にもわたる長期の公演を支えて下さった関係者の皆様、スタッフの皆様、そしてご来場いただいた全てのお客様、応援して下さった全ての皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
「ありがとう」と伝えたいのはこちらのはずなのに、「ありがとう」と言われることが多かった今回の公演。観に来てもらえるということ、応援していただけるということが私にとってどんなにありがたいことか。「ありがとう」という言葉では足りないほどに感謝してもし足りないのは私の方なのに、「観に来て良かった。ありがとう。」とたくさんの方に声をかけていただくたびに、胸が熱くなって涙が出そうになりました。
本当に私たちは幸せな劇団です。たくさんの方々に応援してもらえる幸せな劇団です。
お返し出来ることがあるとするなら、それは舞台の上でしかないと思います。面白い舞台を創り続けることだけが唯一の手段。だからこれからも全力で向かい続けるのみです。

私は舞台に立つことが好きです。役者として舞台に立っている瞬間が何よりも好きです。
でもカラクリの舞台に立つということは決して楽なことではないです。「こんなふうに演じてみました」とか「いつかは上手くなりたい」とかそんな漠然とした目標ではなく、今出来るかどうかを常に結果として求められます。出来ないということは努力が足りないということ。どんなに悔しくても、それは変えようのない事実なのです。
お客様が私という役者を認めてくれたとしても、演出が私を認めてくれなきゃやっぱり悔しいわけで、そしてそれも含めて私自身が自分の演技を認められないと意味がないと思ってしまいます。だから果てしなく道は続いていく。それは途方もなく長く、そして面白い。

今回は『声』を褒められることが多かったんですが、実は発声方法に大きな収穫があったのでその結果の好評だったのではないかと思っています。これ、本気で嬉しいです(笑)。今はまだ声の出し方が掴めた程度のものでしかないので、稽古を重ねて物にしていきたいと思います。

長いようで短かった、でもやっぱり長かった一ヶ月公演。
まだまだ思うことは色々とあるんですが、整理しきれてないのかうまく言葉に出来ません。きっとこれからだと思います。少しずつ何かのカタチで自分の中に溶け込んでいくんだと思います。今はそれを待つだけです。
応援して下さった全ての皆様に愛と感謝をこめて。

【伊藤彩希】
コンクリートシアターVOL.1にご来場いただいた皆様、お手伝い頂いた関係各位、一ヶ月間と言う長丁場の公演に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。今後とも変わらぬご声援、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。
そして全力で頑張ってくれた新人二人、過酷な状況でも文句の一つも言わず着いてきて下さった客演様方、そしていつも迷惑を掛けたおしている劇団員、お疲れさまでした。ありがとうございました。

私は今までの人生の中で、「このままじゃダメになる」と思ったことが2回ありました。
一回目は小学校2年生の終わりごろ、二回目は高校1年の終わりごろ。どちらの時も当時の私にとってはとても大事なものを手放し、代わりにどうしたら前向きに生きていけるかを必死で考えました。失ったものも大きかったけれど、正しい選択だったと思います。今回は、いや、この半年間は、その3回目だったと思います。所感にそんな暗いこと書くのもどうなんだ!てぇ話ですが、「公演を振り返るということ」その行為に対して、見栄えの良い綺麗事を書き始めてしまったら、やっぱり私はもう終わりだと思うので、まあ常識の範囲内で、上手いこと書きたいと思います。

今回の最大の反省点は、メンタルのバランスを完全に崩してしまったことです。詳細は省きますが、半年前くらいから、ふっと演技の仕方が分からなくなりました。そこの記憶だけすっぽり抜けてしまったように、なにも出来なくなったように感じました。他人から言わせれば、「いや、おまえは元々何もできなかったんだよ」と思うかもしれません。そうなのかもしれません。19歳から始めて、今までそれなりに色々なものを捨てながら、自分なりに頑張ってきたつもりでしたが、頑張れてなかったと言うことです。結果が全ての世界ですから、どんなに「がんばったんですぅ~」とか言ったところで、成果が出なければどうしようもありません。

私のこの約10年間は無駄だったのか、と思った時には、さすがに頭が真っ白になりました。そこからはもう絵にかいたような崩れっぷりでして!(笑)ご飯が食べられなくなり、夜眠れなくなり、頭が全く働かなくなり、体がびっくりするくらい重くなり、セリフは入らないわ集中力が無くなるわ、声も全然出ないわ、過呼吸で死にそうになるわ(笑)最後の方はもう心身共にボロボロだったと思います。舞台に立っても良い精神状態ではありませんでした。今回の私は完全に役者失格です。
「このままではダメだ」と思いました。このまま上手くならないなら、努力が出来ないなら、もはや私に続ける資格は無い。
やってもやっても無駄になるかもしれません。「そう言うことじゃねえんだよ!」と怒られるかもしれません。でも、優柔不断な考え無しの私が、自分できちんと何が必要なのか考えて、トライアンドエラーを繰り返しながら、一歩一歩進んで行くことに意味がある。それは必ず私の糧になる。間違えて怒られる分には、何もしないで怒られるより、ずっとマシです。
この約10年間、カラクリに懸けてきた、また頼っていた部分が多すぎて、自分の視野が恐ろしく狭いことに気付きました。

少し外に出たいと思います。自分の目で見て、自分で考えて、自分で選び取って行く。私がやり直すのは、そんな基本的なところからです。折角1からやり直すなら、以前よりも柔軟な人に。優しい人に。いわゆる上手い役者には多分私はなれないのだろうけど、良い役者になりたいと思います。ボロボロになったメンタルを立て直して、ガタガタになった身体を作り直して、きちんと舞台に立てたなら、次回公演は全力で自分を褒めたいと思います。さて、頑張りますか!

次回公演は11/22、皆様の御来場、心よりお持ち申し上げます。

【たばるとも】
ご来場いただきました皆様、お手伝いしてくださいました皆様、応援してくださいました皆様、本当にありがとうございました。約1ヶ月に渡る公演が無事終了しました。

相変わらず厳しい公演でした。直前まで台本が放せない状況。今回静岡朝日テレビさんの「とびっきり!しずおか」で絡繰機械’sの特集を組んでいただきましたが、あの稽古場の撮影日は公演初日の前日…台本を持っていたかと思います。その後、朝方お家に帰り、寝ずに台本を頭に入れ、結局一睡もせずにその夜本番を迎えました。一睡もしなかったのは初めて。

□砂漠のホネ
再演。若かりし頃のベビーロックのシーンは前回できなくて却下されていたことができればいいなと思い、動き・ノリ・スピード感に気をつけるもそれがどこまでできていたのかは、うーん、どうだったでしょうか。オババに関しては稽古を繰り返していく中できちんとレベルアップできていた気がします。馴染んだのかな。演出からも単なるネタキャラではなくオババになっていたと言ってもらえたので繰り返しの稽古が板についてきた成果だったのかもしれません。あと、声。初演時は若かりし頃のベビーロックとオババに関して、同一人物なのだからという意識はしていたものの、どちらかというと切り離して声と年齢の差をつけるほうが優先されがちになり、自分で確固とした声の共通点を見いだすことができずにいました。それでもその初演でご覧いただいた方から「なるほど、若い頃のあの人がおばあさんになるとああいう声になるのですね!」というお褒めの言葉をいただき本当に嬉しく、今度こそ自分の中で確固たるものを見つけていきたい、そしてそこを気をつけながら演じたいと思っていました。今回は自分でもはっきりと共通点を見いだせました。一部を変えただけで、あとはほぼ同じ発声でした。

□I-N-CHI-KI 2015
序盤の斉藤インチキ(倒れていた女)は、ただただ普通の人であってほしいとの演出からの要望。言ってみればお客さまと一緒の立場の人。で、後半は感情もろ出しとでも言うか。そのそれぞれのバランスがわりと難しくて、稽古を繰り返す度に前半の普通感がちょっと薄れて濃くなってしまったり、薄すぎるとただぼうっとしてる人になってしまったり。後半は後半で、カラクリは普段わりと「感情入れるな!」が常套句なのですが、それをわたしがはき違えてうっすいうっすい芝居を繰り返してしまったりと。創るのが大変な芝居でしたが楽しいものでもありました。

今回の公演を通じて
フィジカルの課題、メンタルの課題、公演体勢の課題、などなどたくさん出てきているのですが、改善方法がどれも見えているものばかり。フィジカルに関してはおそらくすごく時間がかかると思うのだけれど、ようやく最近改善方法が見えてきました。ただ習得するのはめちゃめちゃ時間がかかるだろうとは思っています。カラクリの舞台がレベルアップしていくように日々精進していかなくては。公演体勢はどうしようもない部分もあるのだけれど、もう少し計画をうまく立てられるようにしていきたいと思っています。
なんだか課題ばかり書きましたが、公演自体はたいへんご好評をいただきホッとしています。そして個人的には、今回初めて自分が今持っているものをやりきれた!と思えた公演でもありました。そして特筆すべきは今回初めてカラクリの舞台を踏んだ3人。タイトなスケジュールで大変キビシい中、本当に頑張ってくれました。稽古中にみるみる成長して。それがすごく印象的なコンクリートシアターとなりました。

【柳川智彦】
絡繰機械’s第18回公演『コンクリートシアターvol.1』全日程を無事に終了することが出来ました。
ご来場いただいたお客様、ご尽力を賜りました関係各位に厚く御礼申し上げます。

前回出演したのが第10回公演『即決ロックンロール!』ですから実に3年8ヵ月ぶりの舞台復帰。台詞が覚えられない、舞台上で動けない等々、個人的に終始綱渡り。共演した劇団員に無用の緊張を強いてしまいました。ゴメンナサイ。

数々の舞台を経験して技量を増した古い仲間に、今公演で初めて共演した新しい仲間。以前から見に来てくださっているお客様に、今回初めてお会いしたお客様。いくつもの人との繋がりが自分を新しい何処かに運んでくれる。そんなことをぼんやりと考えた公演でした。嗚呼。もう次回の公演が待ち遠しくなっています。

【河野丈志】
観に来てくださった方々、応援してくださった方々、公演を打てる場所を提供してくださった万年橋パークビルの方々、公演を手伝ってくれたスタッフさん、本当にありがとうございます。皆さまのおかげで無事、一ヶ月におよぶ思い出深い公演を終えることができました。

今回もいろいろあったのですが、思い出に残ってるいることを挙げてみると、まず風希くんの公演と合間の寝姿。詳しくは稽古場日記に写真がありますのでぜひそちらもご覧ください。舞台準備中にあまりにも起きないのでちょっと衝撃でした。でもそのおかげで緊張感が緩み、場が和みました。他だと朝、現場入りするとまだ照明の灯っていない暗い舞台で坂本くんがストレッチをしていてびっくりしたことも何度かありました。確かに集中しやすいんだと思います。でもごめんと思いながらドアを開けて光を入れたり、窓開けたりと舞台準備を始めてしまっていたのですが。他にも「砂漠のホネ」では殺陣のシーンがあり、途中で舞台外にある棒を取りに行くシーンがあるのですが、舞台袖に飛び込んだ際、長谷川くんがそこから舞台を覗いていたのか寸前で逃げて行ったりとか、男性陣の着替え方があまりにもワイルド過ぎだったりと本当に色々なことがありました。でももちろんそういった楽しいことといっしょに同じくらい大変だったこともあって、それを越えてみんなで1ヶ月の公演を乗り切ってきたことはみんなの間にすごい仲間という感じを生んでいてそれも公演の醍醐味ではと今回強く感じました。そして自分はそれがすごい好きなんだなと。なので今回学んだこと、出来るようになったこと、出来なかったこと、それらを積み上げて変えていくこと、一つ一つをもう一度見つめ直して次に繋げていきたいと思います。
次の公演は11月になります。場所は浜北文化センターです。またぜひご覧いただければと思います。

【坂本竜也】
コンクリートシアターvol.1ではたくさんの方にご来場いただきありがとうございました。砂漠のホネでホネ探し隊と宿屋のおやじ、あのお方でキツツキを演じました、坂本です。からくり初舞台ということでしたが、なんとか無事に乗り越えたかと思います。

千秋楽から少し時間がたちましたがみなさま、キツツキを覚えていますでしょうか。ちょっと憎たらしいけど嫌いじゃないよと思っていただけたら幸いです。好きでなくてもいいのは、決して控えめに言っているわけではありません。キツツキをヒーローにはしたくなかったという思いがあります。そこらへんにいる人でいたいですね。殺されるまでの間はネコを被る癖がある人を見てるイメージです。嘘やネコ被りは、自分の都合のいい印象を与えるだけでなく、自分を守るような意識が働いていると考えています。じゃあ守りたいものってなんなの?それは最後の笑顔だと思います。誰にも侵されたくないものがそこにつまってると思います。

さてこんなことを考えながら稽古して…いたわけではないんですね。好き勝手言ってますが今のは終わってみて客観的にキツツキを見た自分の感想と考察です。みなさんも、キツツキはこのときこうだったんだよなど考察があったら教えて下さい。討論しましょう!

そもそも所感とはどう書くものなのでしょうか。もっと役者としての稽古中や本番中の心情を語ったほうがいいでしょうか。心情ですか…。うん、わかんにゃい。1つ言えるのは楽しかったってことだけですね。もし被り物の内側を見たい方がいらっしゃるのでしたら、一度稽古の様子を見ていただけたらと思います。言葉なして伝わるはずです。そしてそんな方もそうでない方も、次回公演「戯ガーデン」でお会いできることを楽しみにしています。それではこれで失礼いたします。

【長谷川楓】
僕は今回のコンクリートシアターが人生で初めての舞台でした。
思えば、4月に入って間もない時期に僕はカラクリマシーンズという劇団を見学しに、万年橋パーキングへ来ていました。これが僕の初めて劇団というものを生で見た瞬間でした。見学しに来たときには既にコンクリートシアターに向けての稽古を行っている最中で、一人一人が真剣に舞台をより良いものにするために試行錯誤をしていた場面がとても印象的でした。稽古が終わると、ただ見学しにきてた僕に対して明るく接してきてくれて、まるで初対面には思えないくらいのフレンドリーさに、ただただ驚いていました。そんな中見学しにきてた僕に対して、ちょい役で舞台に出てみれば?という、舞台を経験したいと思っていた僕にとっては嬉しくて、嬉しくてたまらない話をしてくれました。当然、即答で「やってみたいです!」と言いました。これが僕の初めての舞台への第一歩となりました。

翌週から早速、舞台に向けての練習をするようになりました。しかし、まずは舞台上から観客席へ届くまでの声が出なかったんですね。いきなり試練ですよ。このままだと舞台へ出られなくなってしまうのでは?という不安ばかりでした。唐津さんをはじめ、劇団員の皆さんが的確な指導をして下さり、少しずつではありましたが、徐々に声が響くようになってきました。もうこのときはとにかく指導通りにやろうということしか考えていませんでした。普段から余計なことを考えてしまうと、すぐに表情や体の動きから出てしまうタイプであったため、これだけはシンプルに真似をするように覚えていきました。

ある日の練習中では、「極力ゆっくり、胸を響かせ、おじいさんの声を出すつもりでやってみてください」という指導がきました。このときは魂が抜き取られるのではないか?ってくらい頭の中で混乱していました。焦りばかりでした。でも、そんな中頑張れたのは周りから親のように応援してくれる劇団員の皆さんがいたからだと思います。僕が少し上手くいったときでも、物凄く喜んでくれて、そんな嬉しそうな劇団員の方々の顔を見ていたら、「やるしかない!」って思えたんです!もう感謝の気持ちしかないです!今だから言えますが、何回逃げ出そうと思ったか…でも、ここまでサポートしてくれる劇団員の方々に絶対裏切るような行為はしたくない。この人たちと素晴らしい舞台を造り上げるんだ!という思いでなんとか本番までやりとげることができました。

舞台初日、そうとう緊張しました!ユビキリという役で出させてもらいましたが、手が震えて、震えて(笑)これは一生忘れないと思います。全部で僕が出させて頂いたのは「あのお方」という舞台の一本のみでしたが、回数を重ねるごとに落ち着いて出きるようになっているのが自分でも分かりました。少し成長しているのかな?って思いながらも、更なる成長を目指して、1公演ずつ自分で課題を付けて舞台に臨むようにしていました。決めた課題を全てクリアすることはできませんでしたが、それは次回の公演でも続けて、更なる成長を目指そうと思います。

今回舞台を劇団員全員で造りあげての感想は、付いていくので精一杯になっていたなっていうのが正直な感想です。もう少し何かできたのではないか?と考えると悔しい気持ちがあります。しかし、初めて自分の演技をたくさんの方々に観ていただけたのは本当に自分の中で物凄い経験ができたと感じます!コンクリートシアターvol.1を観てくださった方々、本当にありがとうございました!

さて、次回公演はカラクリマシーンズの劇団員として出演させて頂く舞台となります。人生初の舞台からどれだけ自分が成長できるのか、今から楽しみで仕方ありません。より良い舞台を観客のみなさんにお届けできるよう、カラクリマシーンズの一員として頑張りたいと思います!