お待たせしました!『ゴーイン座談会』の第2弾です!今回は、東三河の太田直宏さん、お笑い芸人『虎あげは。。』のゲンジョウさん、そして、公募枠で名乗りを上げた古橋紀宙くんです。中西と伊藤がお話を伺いました!
——まずはNaOさん(太田直宏さん)から
伊藤 NaOさんはこれまで何度かカラクリの舞台に出ていただいているのですが……どうですか?
紀宙 え?丸投げですか(笑)
太田 毎回大変です。
中西・伊藤 (笑)そうですよね〜。
中西 普段は東三河でお芝居されてますよね?芝居始めて何年になりますか?
太田 21か22歳くらいから始めたから18年くらいかな?でも最初の方はスタッフサイドにいて道具作りばかりしてたし、役者してからもちょくちょく道具作りをしてたこともあるから役者としてはそこまでの年数はやってないんだけどね。
中西 浜松にはよく芝居観にきたりしますか?
太田 実はそんなには来てなかったなあ。
中西 じゃあ、初めてカラクリを観にきたのは?
太田 カラクリマシーンズになる前の『王の剣〜もしくは革命定食〜』。チラシを見ておもしろそうだなと思って観に来たのが最初かな。
中西 『王の剣』はもう8年前ですね〜。そのころからNaOさんは大道具の「バラシ」を手伝ってくれて、いつも片付けのときに手伝ってくれるいいお兄さんという存在。
伊藤 カラクリの舞台観るときも、毎回最前列ですしね。
太田 絶対最前列。そしてセンター。
一同 (笑)
中西 そうやってNaOさんはバラシを手伝ってくださったり、逆に私たちもNaOさんの舞台を観に行ったりして仲良くなったんだけど、そういうこともあって「一度客演で出てみませんか?」と誘ったんですよね。
太田 それが『即決ロックンロール』(以下『即決』)だったね。
伊藤 『即決』が2年前の9月ですね。
中西 それからはコンスタンスに出てますよね。
伊藤 準レギュラーみたい(笑)
中西 おそらくカラクリの客演さんの中では出演回数はNo.1ですね!
太田 『シュバダバ』はお手伝いしただけだったけど、それ以外はずっと出てるね。
ゲンジョウ 客演の域超えてるよね(笑)
伊藤 信頼感があるからついつい頼んでしまうんですよね。NaOさんは絶対に投げ出さないっていう。
中西 そう。NaOさんはカラクリの裏の部分もいろいろ知ってるから。
ゲンジョウ 誰と誰が仲が悪いとか(笑)
中西・伊藤 そういうことじゃない(笑)
中西 誤解招くからやめてー。稽古つらいとか、そういうことです。
——続いてゲンジョウさん
伊藤 まず、去年の夏に公開された映画『プレイヤーズ!!』(※1)で中西と共演されたんですが、あ!私とも共演してましたね。
ゲンジョウ そうですよ〜。映画の一番最初の撮影日だったね。
伊藤 そうでした。クランクインの日にご一緒しましたね。 ゲンジョウさんはお笑い芸人でいらっしゃるから、いつ見ても面白くて。
ゲンジョウ そうなんですよねぇ(笑)
伊藤 見てるだけでも面白くて。
ゲンジョウ ほんとそうですよねぇ。
伊藤 映画でも私は足を引っ張っていてね、最近の稽古でも足を引っ張ってるんですよね。
ゲンジョウ いやいやいやいや。
中西 それコメントしづらいよ(笑)
伊藤 最初見たとき恐い人かなと思ったんですけれど、実は気遣い屋さんというか、結構人を観察してますよね。
ゲンジョウ (笑)。まあ、僕はムスッとしてるというか何にもしゃべらないと恐いって言われるね。僕はこう見えて意外と人見知りの部分もあるので、特に初対面の人だったりすると恐いように見えるのかも。あと、こういう風貌しててお笑い芸人やってると、やっぱりちょっかいかけてくる人がいるのね。なんかやってよーとか。で、そういうのが僕は気に入らないから、どんな奴なんだ?って最初はこちらも構えてる。で、そういう部分を見られると「恐い」って映るみたい。
伊藤 なるほどー。
ゲンジョウ 逆に最初から、あ、コイツ大丈夫だなと思って接してると後でやっぱコイツダメだなって思うときあるじゃん?でも、そのときはもう相手はオープン全開だから逆にそれを僕は閉じてしまってムズカシク見えるというかね。そういう風にして割と相手を気遣ってるかもね。意外とね(笑)
中西 うん、意外(笑)。ゲンジョウさんはお笑いコンビの『虎あげは。。』っていうのをやっていて、M-1にも3回戦まで行ったんですよね。
ゲンジョウ 僕らがM-1に行った頃っていうのは、まだインディーズでやってた芸人は僕らくらいで、5000組の中で300組が残ったんだけどインディーズは僕らだけだったね。あと1回勝ち抜けばクリスマスに大井競馬場にいたワケですねー。
中西 事務所に所属していない芸人さんでそこまで残れるのはスゴイこと?
ゲンジョウ M-1予選は2回戦から会場が東京と大阪に分かれるんだけど、そうなると結局お笑いの学校に通っている人がほとんどで、フリーで活動してる人でも事務所に所属していないだけで、お笑いの学校は卒業してたりする。だから、お笑いの学校にも通っていなくてっていうのは僕らが唯一だったから、そこまで残るというのは難しいのかもしれない。
中西 ゲンジョウさんと知り合って、劇団員のみんなでお笑いライブを観に行くようになったんだけど、ほんとにおもしろい。
伊藤 そう!浜松のお笑いはおもしろい!
ゲンジョウ 結構若い子もお笑いやってて、もう卒業しちゃったけど高校生コンビがいたり女性のコンビもいたりする。『ハイスクールマンザイ』っていう高校生お笑いNo.1を決めるイベントがあるんだけど、僕らがお笑いをやり始めた頃は浜松の高校生が決勝に残ったりしてたし、お笑いをしている人数は少ないかもしれないし、知られてないかもしれないけれどレベルは低くはないと思う。
伊藤 私、実はちょっと聞いてみたかったんですけど、お笑いを始めたきっかけとか、『虎あげは。。』の結成秘話みたいなのあります?
ゲンジョウ 実はお笑いをやり始めたきっかけは、『虎あげは。。』じゃなかったのね。『笑竜』っていうコンビが最初。それはそのときの相方が誘ってきてくれたんだけど、その誘ってきた相手と塙が元々コンビだったんだわ。『BB弾』っていうコンビでやってた。で、『BB弾』が「窓枠お笑いライブ」(※2)に出てた頃は『髭男爵』とか『エルシャラカーニ』が窓枠お笑いライブに来てたんだよ。
一同 えー!!すごいね。
ゲンジョウ その後『BB弾』が解散して、俺は『笑竜』を組み、一方、塙が『BB弾』を解散してから組んでいたのが、初代の『虎あげは。。』(当初はこの名前でバンド活動もしていた)。それぞれ活動していたけれど、俺のほうのコンビ『笑竜』は解散し『虎あげは。。』も塙の相方が脱退したのでそれで塙と俺で『虎あげは。。』としてコンビを組むようになった。初代『虎あげは。。』解散直前にラジオの話が舞い込んできてたのでコンビ組んだその月からラジオのパーソナリティ!これまで一度もやったことないのに(笑)
伊藤 エリートコースですね!(笑)
——そして紀宙くん
伊藤 紀宙くんは高校で演劇してたんですよね。開誠館高校っていう浜松ではわりと高校演劇の強いところで。中学校の頃からやってたの?
紀宙 いえ。中学の頃にやりたかったんですけど、僕の通ってたところは幼稚園・小学校・中学校とエスカレーター式で、中学の部活では演劇部がなかったんです。でも、ずっと演劇をしたかった。高校に入ったら絶対に芝居をするぞ!って思って、どこの高校がいいのかを知る為に高校演劇の大会を観に行ったんですけど、そこで開誠館が一番自分に合っていそうだなと思ったんです。私立の学校だったんで、単願で「演劇部に入りたいです!!」って言いました。
一同 へぇー!!
中西 演劇部に入りたくて開誠館を選んだんだ。すごいね。
紀宙 そうなんです。学校生活はどうでもよかった。
一同 (爆笑)
紀宙 部活(演劇)やれればそれでよかったんです。
中西 へえー、すごいね。
紀宙 それぐらい、その頃から演劇は好きでしたね。
伊藤 演劇を好きになるきっかけは何かあったの?
紀宙 親が『浜松子ども劇場』(※3)という会に入っていたので、連れられて2〜3歳くらいからお芝居を観てたんです。で、その頃の記憶が残っていて、大きくなってからも芝居観るたびに、あ〜、やっぱり芝居はすごいなって思ったりして。
伊藤 へぇ〜、純粋。
中西 自分が中学の頃を考えるとこんな純粋じゃなかったよね。
伊藤 高校演劇は楽しかった?
紀宙 楽しかったですね。高校演劇も学校によっていろいろ特色があって、開誠館はギャグテイストが多い中にシリアスがあったりという、自分の好きな雰囲気の舞台が多かった。好きなようにやらせてもらいました。 あと、演劇部で人間関係だったり、部活自体の空気が悪くなった時期があって、そのとき顧問の先生がみんなを集めて「演劇部解散する」って言ったことがあるんです。そのときは、ほんとにどうしようって思いました。自分はここの演劇部入る為にこの学校を選んだのにって。演劇部なくなるなら学校辞めますって言ったくらい演劇にはハマってました。
一同 そうなんだぁ。
紀宙 はい。でもまあ、結果的には発破を掛けられただけなんですけどね。
一同 (笑)
伊藤 うまいこと転がされたね。
中西 紀宙くん、台本書いたりもするんだよね。
紀宙 はい。まあカラクリさんみたいなまじめなのじゃないですけど。
中西 いやいや、すごいと思うよ。台本書けなんて言われたって全然書けないよ。高校演劇の長さ—60分くらいのを書いたりするの?
紀宙 いえ、毎年学校で春の定期公演というのがあって、そのときに短編を数本上演するんですけど、そのうちの1本を書いたりしたので10〜30分くらいのものでしたね。卒業講演のときには自分で書いたものを上演しました。
伊藤 同じ書き手として、唐津さんの台本についてはどう思う?
中西 だから言いづらいから(笑)
ゲンジョウ 大丈夫!今、唐津さん、いないから!
一同 (笑)(※実際はこの場にいました)
紀宙 内容というよりビックリしたことなんですが、カラクリに来るようになってよく聞くのが、台本完成するのが公演3日前とか…
一同 (笑)
紀宙 良い悪いじゃなく、そんなことが存在するんだって(笑)すごいカルチャーショックでした。
伊藤 (3日前に台本あがっても)できるよ。
太田 できたね。
伊藤 あきらめなければできる!
紀宙 ほんとにできてるのがすごいなって思います。
——稽古について
伊藤 (紀宙くんに)開誠館でのお芝居や稽古の雰囲気とカラクリのそれとの違いもあると思うんだけど、これ苦しいなとか、これすごい勉強になったなとかある?
紀宙 開誠館では普段の稽古は学生だけでやって全体的なアドバイスみたいなのは先生がしてくれるんですね。だから最初のうちはダメ出しをするにも経験の浅い1・2年生はどうしてもうまく言えない。だけど、唐津さんははっきりしたことを言ってくれるのでわかりやすくてやりがいがあるというか、怒られても納得できる部分がある。たとえば、高校のときは、ダメ出しで「滑舌悪いのをなんとかしてください」と言われてたのが、唐津さんだと「こういうふうに口を開けばいいよ」という具合に。こうすればうまくなるというのがわかるし、それがすごくうれしい。
中西・伊藤 なるほどねー。
紀宙 苦しいところは……まあ、高校では、芝居をする上でなあなあになっちゃう部分や、仕方ないねーで終わったりするところがあったんですけど、そういうのがここ(カラクリ)では一切無い。あと、これは高校演劇の枠の中での話ですけど「上手いよ」と言われたりしてたのが、当然それもなくて。唐津さんは上手いって言わないじゃないですか。見てるところが違うんですよね。すごい上を見てる。
中西 いいところは言わなくてダメなところだけ言うね。
紀宙 自分はこんなにも底辺だったんだって思います。
一同 (爆笑)
太田 いやいやいやいや。
中西 そんなことないよ。
伊藤 なんかゴメンね。
紀宙 いや、底辺なんだからもっと頑張らないといけないなって思います。苦しいけど頑張れます。
中西 NaOさん、ゲンジョウさんはカラクリの稽古はどうですか?
ゲンジョウ 最初は、早口言葉とか(早い)しゃべりとかが、まあ回らない回らない(笑)。みんなスゲーなーって。体力作りを兼ねた稽古は、まあ演劇だけでなくスポーツをやってたりすれば、いずれ身体を動かすわけだから当然だと思うんだけれど、しゃべりはねぇ、ほら、いちおう俺もお笑い芸人としてしゃべりをやってるワケじゃない?なのに、いやーこれはスゴイなと。違いすぎるなと。そこは正直カルチャーショックを受けたね。でも誘ってくれたし生半可に終わるのもいけないから、なんとかしなくちゃと思いつつ、ようやく最近慣れてきたかなあと。
太田 俺も最初来たころ散々だったよ。と言って今できてるかというとそうじゃないけど(笑)。今よりもっと散々だったよ。
ゲンジョウ そうだ、俺が最初稽古に来たときNaOさんがいて、「この人客演さんだろうな、みんなと仲良く話してるから長く芝居してるんだろうな」と思ったんだけど、早口言葉の練習で失敗してるのを見たときにほっとしたもんね。俺一人じゃないって(笑)。 お笑いとは全然違うし、決められた難しい台詞をしゃべるっていうのはこれまでなかったから勉強になったな。
太田 東三河でもここまでしっかり基礎練習をすることはなかったかな。
中西 たしかにカラクリの稽古は、まあ台本が遅いということもあるんですけど(笑)その分、基礎練習はすごいやってると思う。
ゲンジョウ どっかのジム行くより痩せると思うよ。
一同 (笑)
中西 発声だけでも腹筋使うし汗かくしね。
——出演の経緯について
中西 紀宙くんは応募してくれたんだよね。どういった経緯で?
紀宙 もともと開誠館に通っていたときに、毎年演劇部の夏合宿があって、カラクリさんはそのときに講師で来てくれたんですよね。で、その縁でカラクリさんと顧問の福岡先生ともつながりがあるんですけど、その福岡先生が『今カラクリさん、客演募集してるけどどう?』ってメールをくれたんです。
中西・伊藤 へえ、そうなんだ。
紀宙 僕はカラクリの舞台好きで以前から出てみたいって思ってたんで、ものっすごい堅苦しい文章を唐津さんに送りまして。
一同 (笑)
伊藤 どんなどんな?
紀宙 古橋と申します。から始まって、客演を募集している旨を聞きまして…みたいな。そういうむちゃくちゃ長い文章送ったんですけど、3分経たないうちに「いいよー」って。
一同 (爆笑)
太田 今回の出演に関しては、2月頃だったかな?のときに唐津さんに「NaOさん6月出ます?」って言われて「出ます」って即答!
伊藤 あっさり(笑)
中西 今回は、次回公演に向けての会議のときに男優が足りないからどっかから客演で呼ぼうって言う話をしていたんだけど、そのときに「NaOさんでしょー、」ってすぐにカウントしてた(笑)
伊藤 そして、ゲンジョウさんに声をかけたらまさかの参戦!
ゲンジョウ いや、俺けっこう悩んだよ。畑違うし、稽古が厳しいって言う情報しか入ってこないし(笑)。でも、今年に入ってライブに出る回数も減って、コンビで自分たちのやりたいことを模索していたときだったし、お笑いライブはスペシャルゲスト扱いで、俺は別のことをやろうかなと思ってたときに誘われたっていうのもあって。これも何かの縁みたいな。
中西 タイミングよかったんだね。
ゲンジョウ それに、これで俺が断って他の芸人が出てたら、それはそれで「あ゛〜!!」ってなるじゃない。
一同 (笑)
ゲンジョウ 「アイツが出んのかあ」って俺のハートは煮えくり返るからね。しかも、ちょっといい演技なんかしてたら「なんだよぉ」ってなるだろうし。かと言って観に行かなかったら、それはそれで家にいたってもんもんとするし(笑)じゃあ出演しようかって。一回目に出る芸人が俺だったらまあいいかなーって。
中西 いやほんと、ありがたいですー。
——最後に意気込みを
太田 どんな役がまわってくるかわかりませんが(笑)頑張ります!(※座談会収録時は役は未定でした)
ゲンジョウ 初めての演劇の舞台、足を引っ張らないように頑張ります。
太田 なんでそんな急に謙虚なの(笑)
ゲンジョウ じゃあ、普段のカラクリが取る笑い以上の笑いを取りにいきます!
一同 (笑)
紀宙 お客さんに「あの子カラクリの子じゃないけどよかった」と言われたら大成功です。
中西 お3人さんにはほんと期待しまくってます!
伊藤 はい。おんぶにだっこです(笑)。今日はありがとうございました。
太田・ゲンジョウ・紀宙 ありがとうございました。
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(※1)『プレイヤーズ!!』 2012年10月に公開された浜松市制100周年『100夢プロジェクト』採択企画の映画。今回客演の山口さん、ゲンジョウさんをはじめ、カラクリ劇団員も多数参加。
(※2)『窓枠お笑いライブ』 浜松市街中のライブハウス「窓枠」で月1回開催されているお笑いイベント。
(※3)『浜松子ども劇場』 文化的な活動を通して子どもの健全な成長をはかることを目的とする自主的な文化団体として、1973年12月に発足。会員制で舞台の観賞会を実施している。